ミュージカル俳優井上芳雄さんのコラムから学ぶ「褒めて伸ばす」海外演出家の人の育て方

あなたの想いをドラマにする

「ファンメイクシアター」

プロデューサーの冨永真佑(とみながまゆ)です。

 

あなたはミュージカル俳優の井上芳雄さんをご存知でしょうか。

 

 

 

エリザベート、ミス・サイゴン・ロマンス・マリー・アントワネットなど

 

 

帝国劇場など、日本の大舞台で行われる有名ミュージカルには欠かせない逸材です。

 

そんな天才俳優井上芳雄さんが日経エンタテインメントにコラムを書いていらっしゃり、

 

そのタイトルが

「海外の演出家が『ダメ出し』をしない理由」

 

タイトルが気になって中を読んでみたところ、まさにこれからの日本企業には欠かせないポイントがあると思いましたので、ご紹介します。

 

今日は、日本の演劇界では当たり前の『ダメ出し』をしない、海外的教育法から、新しい人材育成を考えたいと思います。

 

人の伸びしろは指導者の振る舞いと言葉で決まる!海外の演出家が『ダメ出し』をしない理由

まずは、井上さんが書かれたコラムをお読みください。

 

海外の演出家が「ダメ出し」をしない理由(井上芳雄)

 

まず目に止まったのは冒頭の文章です。

 

”日本で演出家というと、俳優に対してここがダメだ、あそこがダメだ、だからこうしなさい、と厳しく指導する先生のようなイメージがあるかと思います。演劇用語でいうところの「ダメ出し」を、日本では俳優もスタッフも当たり前のこととして受け入れています。”

 

海外の演出家はそういう言い方はしません。ダメ出しにあたる言葉があるとすれば、ノート(note)といいます。提案という意味がしっくりくるように思います。指導するのではなく、俳優自身に考えさせるのです。”

 

私もまったく同感で、日本の演劇界ってとっても無駄な指導が多いなと思っています。

 

演劇で言うダメ出しとは本当にそのままで、どこがどう悪いのか上手く言えないけど、「ダメ」だからなんとかしてという指導が多く、俳優が求められていることを正しく理解できないので、なかなか変化・成長しないという状況が発生します。

 

企業様でも同じようなことが起こっているのでは無いでしょうか?

 

何度注意していも、部下の行動が変わらない…とお悩みの上司の方はたくさんいらっしゃいますね。

 

人の心情を表現するのが俳優の仕事にも拘わらず、役者の心理をあまり考えずに指示を出す演出家が結構多い。

 

 

人間は感情の生き物ですから、同じ結果を求めるにしても、言い方一つでモチベーションをアップさせることもダウンさせることも簡単にできるのです。

 

あなたは、最近、部下を褒めたことはありますか?

 

いつも、マイナスの指摘ばかりしてしまうのではないのでしょうか。

 

 

怖い演出家と言えば、故蜷川幸雄さんが有名ですね。

 

 

お会いしたことも無い方なので、あくまでイメージですが、私も怖い演出家と言えば一番に出てきてしまいます(すみません><)

 

灰皿を投げつける演出家(本当に投げたのは1回だけらしいです)として有名ですが、

 

できない=叱る

 

が日本人的教育法であることは、職場の中でも大いにあることだと思います。

 

 

叱ることがいけないとは言いませんが、叱られるということは「人間の感情」という意味において、あまり気持ちの良いものではありません。

 

本当にその人がすごく悪いことをして、これは怒るのも当然!というレベルももちろんあるでしょう。

 

けれど、日常茶飯事怒られてばかりだと、人はただ単に「嫌だな」「なんで自分ばっかり」「あの上司は…」と素直になれないものです。

 

 

ここはご自分が新人だった頃を思い出して想像してみてください。

 

なぜ素直になれないかと言うと、理由は簡単で、上司が欲しいパフォーマンスを部下が出せていないと言うことからくるイライラが先に立ってしまっているから。

 

そこに相手の成長を望む「愛」は無いように思うのですが、いかがでしょうか。

 

 

井上さんの記事にはさらにこんな文章が続いています。

 

”今回は通し稽古を10回くらいしました。これは通常よりもかなり多い回数です。ミュージカルだと2~3回ということもありますから。通し稽古の後は、ルヴォーが何か一言話すという感じで、こう動きなさいとか、こう演じなさいとかは言わない。その代わりに何回も通し稽古を繰り返して、俳優が自分で役の動き方やテンションを見つけていくというやり方でした。”

 

“演劇って、本来はそういうものだと思います。しかし演出家からすると、早く思い通りに動いてほしいから、違うんだ、こう動きなさい、と言うのでしょう。でもルヴォーは、俳優が自分で見つけるまで待ってくれる。俳優の側も、ダメ出しがないし、怒られるわけでもないから、どんどん自由になっていくという感覚です。”

 

もちろん、日々の仕事をこなさないと回るものも回らずどんどん溜まっていきますから、そんな悠長なことは言っていられん!とうご意見もあるかとは思います。

 

けれど、それは舞台も同じ。

 

上演開始日までにお客様に料金に見合う、いえ、それ以上のパフォーマンスを出さないといけないわけです。

 

それを俳優にイライラしてダメを出す演出家は一流では無いということかも知れません。

 

演劇だけじゃない。芸能・芸術に必要なのは個々のパフォーマンスとチームワークがすべて。指導者の「想い」が最高傑作を作る

もし演劇でイメージがつかないと思われるなら、交響楽団ならいかがでしょうか?

 

大勢のプロの演出家を一人の指揮者がまとめ上げる。

 

 

一人一人のプロとしての最低限のパフォーマンスは整っているにも関わらず、指揮者の腕次第で醸し出される音楽はまったく違ったものになります。

 

奏者を変えず、指揮者だけ変えてこの現象は起きるのです。

 

懐かしいところだと「のだめカンタービレ」にはそんなシーンが何とどなく出てきました。

 

 

ということは、一人一人の能力、パフォーマンスだけの問題ではなく、指導側の能力、パフォーマンスも大きく影響すると言うことです。

 

海外の演出家はとにかく「褒める」日本の指導に欠けているのは思いやりと優しさ

若年人口の減少、人手不足が言われ、ついに今年は人手不足倒産が過去最高になりました。

 

一昔前なら、厳しく指導することが常識だと、働いてお給料をもらうことは甘いものじゃないという価値観が一般的だったかも知れません。

 

けれど、それで実際にどれだけ「できる社員」が増えたでしょうか。

 

 

叱る指導がパフォーマンスが上がらないのは、井上さんの文章にあるような

 

「俳優が自分で役の動き方やテンションを見つけていく」

「ダメ出しがないし、怒られるわけでもないから、どんどん自由になっていく」

 

真逆をやっているからですね。

 

「また怒られるかも知れない」と思うと、まずやる気が無くなる

やることなすことこれでいいのかわからないという不安がでる

聞きたいけれど、叱られるかも知れないと思って、聞くのを躊躇してしまう

 

こういうことが起きるわけです。

 

 

前述の蜷川幸雄さんは確かに厳しい方だったようですが、やみくもに起こっていたわけではありません。

 

故蜷川幸雄さん「灰皿を投げたのは1回なのに困っちゃう」 NEWSポストセブン

 

この記事の最後の方に故萩原流行さんのお話が出てきます。

 

 

一番噛みまくって周りの足を引っ張っている萩原さんに蜷川さんはちゃんと心遣いをされています。(萩原さんは当時躁うつ病を患っていた)

 

こういった一人一人の状況や環境、性格まで考えて「愛ある叱咤」であれば、相手にもそれはちゃんと伝わるのです。

 

けれど、

 

叱る=指導

 

だともしあなたが思っていて、そこに相手の成長まで考えていないのであれば、それはただ「自分の感情をぶつけているだけ」ということに気づいて欲しいのです。

 

 

そして叱る指導の逆が、井上さんのコラムの後半に出てくる

 

海外の演出家は、とにかく褒める

 

ですね。

 

”海外の演出家は、とにかく褒めます。何かすると、まず「ベリーグッド」と褒める。そのうえで「ここをこうすると…」という感じで意見を言う。それが結果的にはダメ出しなのかもしれませんが、頭ごなしに否定することはありません。

 

言い方の問題なのですが、それはとても大事なことだと思います。僕に限らず、俳優って、初めての役をやるときは、怖くて不安なものです。そこで、いきなり否定されるとつらいし、落ち込みます。ルヴォーはそこを分かってくれていて、「役者はプレッシャーの多い職業だから、守られるべきだ」と言います。だから、否定したりはしないんだと。”

 

「役者はプレッシャーの多い職業だから、守られるべきだ」

 

これは最初から役者と言う立場の人に対して敬愛の心があるということ。

 

日本の教育は小学校の頃から褒めることよりも「足りないところをどうやったら補えるか?」という目線で教育しています。

 

不足を充足に変えさせようとする。

 

その時に、本人ができるまで根気よく見守ってあげ、時には励まし、一緒に寄り添うということが出来ていればいいのですが、管理システムの中で時間に追われながら忙しく働いている学校の先生にはそこまでの十分な対応が出来ていません。

共働きが大半になった家庭教育も同じです。

 

足りないところは指摘してあげるから後は自分で考えて!

 

これを会社の中でもやってしまうと、結局わからないまま、成長しないまま、本人もやる気を失ってしまうのです。

 

欲しいゴールは同じはず。言い方変えるだけで向かいたい方向が違ってくる不思議

仕事を円滑に、スピーディーに、高いパフォーマンスで仕上げて欲しい。

 

企業の欲しいゴールはどこも大差ないはずなのです。

 

けれど、経営者側、採用側の不満が減らないのは指導する側の「言い方」にかなりのヒントが隠されていると私は思っています。

 

「言い方」

 

これがとても重要!

 

この「言い方」が若い人には良くとらえられず、モチベーションを下げ、会社の空気を悪くしているとしたら…

 

本当に勿体ないことですね!

 

部下の眠っている能力を引き出すのがこれからの管理職。人間的触れ合いの多さが社員のパフォーマンスを急速にアップさせる

労働人口がどんどん減っていく中、

 

「人間でなければできない仕事」

または

「今は無いけれど、未来生まれる仕事」

 

に求められるのは、一人一人の高いパフォーマンスです。

 

そのために少しでも優秀な社員の獲得を!と言って、今までのやり方でもまだ求職者が集まるって来るのはもはや大手だけ。

 

その中で中小企業が一番に力を入れるべきは、

「自社の魅力を他者とは違う表現で示すこと」

 

つまり、

「自社に入ればどんな未来が待っているのか?」

「どんな人材を求めているのか?」

 

言葉ではなく違う表現方法でどれだけ具体的にイメージさせられるかです。

 

そして、せっかく採用した人材なのであれば、ダメなところに目をやるのではなく、まずは良いところをしっかりと褒めてあげる。

 

お互い気心が知れているからこそ、厳しいことを言われても素直に聞けるのが人の感情です。

 

とても簡単なことだと思うのですが、目の前の仕事をこなすことだけに躍起になっている時はそこが見えてきません。

 

これからの中小企業を支えるのは、

「目の前にある仕事をこなしてくれる作業をしてくれる人材」

ではなく、

 

「会社の未来を一緒になって考えてくれる創造力ある人材」

 

ではないでしょうか。

 

指導者側から価値観、目線を大きく変え、今までとは違うアプローチを試みることです。

 

押してダメなら引いてみるのです。

 

そのアプローチの第一歩が、今注目されているアクティブラーニングやチームビルディングに特化した「体感型研修」です。

 

「体感」することが目的ですので、やってみないと頭で理解するのは難しい研修です。

 

これから企業内に外国人の採用がどんどん増えてきます。

 

日本人の世代ギャップさえ埋められないのに、外国人が入ってくれば文化ギャップ、言語ギャップが生じます。

 

ボディランゲージを使って大きく表現したり、相手に伝えよう、理解してもらおうという歩み寄りが求められるシーンがそう遠くない将来やってきます。

 

そんな時に、体感型を経験しているのといないのとでは、かなり大きな差が生まれることでしょう。

 

職場の空気が良い、意志の疎通がスムーズということが今の日本企業を救う大きなポイントです!

 

 

ファンメイクシアターでは、その体感型を活かした社員研修をご用意しております。

 

機械に任せることと人間のすみわけ。

 

日本人に任せることと外国人に依頼することのすみわけ。

 

いろんな発想、視野の転換が必要になる時に、体感型研修は必須と言っても過言では無いでしょう。

 

詳しいご案内はこちらをご覧ください。

 

 

本日はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  
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